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◆namelessさんからのご投稿
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                             五分間(手紙外伝) その3
 
しばらくして真紀がトレイに豪華な食事を載せ、美奈子の独房に届けた。雄一が横目で見ると、飲み物だけでワイン・ジュース・コーヒー・ミネラルウオーターと揃っており、食事はシーフードをメインとしたイタリア風料理のようだった。好い香りに雄一の腹が鳴った。考えてみれば朝食を軽く済ませただけで、今まで何も口にしておらず空腹だった。美奈子は雄一に背を向けて食べ始めた。雄一には食事が支給されなかった。美奈子が食事を終えた頃、亜美がステンレスのボウルを持ってやって来た。
「美奈子、夕食は済んだ?」
亜美の問いかけに、美奈子は黙ってトレイを通路に出した。あまり食が進まなかったのか、半分位残していた。亜美はトレイとボウルを持って、雄一の独房に入った。
「下等な男奴隷でも、お腹が空いたでしょう。今からお前の餌を作って上げるわ。」
亜美は美奈子の食べ残しをボウルに入れ、ブーツで何度も踏みつけた。その上に飲み残しのコーヒーとジュースも注ぐ。亜美は鞭を握り、うずくまっている雄一に食べ物で汚れたブーツを突き出した。
「お前の餌を作って上げたおかげで、ブーツが汚れたわ。舐めてきれいにおし!」
雄一はあまりの屈辱に目が眩んだが、亜美の鞭が恐ろしく、舌を伸ばしてブーツに付着した残飯を舐め取り始めた。全身に美奈子の侮蔑の視線を感じ、死にたい気分だった。雄一がブーツに付いていた汚れを全て舐め取ると、目の前に踏まれてぐちゃぐちゃになった残飯の入ったボウルが置かれ、雄一は顔を歪めた。
(これを食べさせられるのか…)
だが雄一の予想は少し楽観的過ぎた。
「これだけじゃ味気ないから、トッピングして上げる。」
亜美はかーっ、ぺっと残飯の上に痰を吐いた。黄色でねっとりとした痰は、照明に反射して鈍く光り、見るだけで鳥肌が立った。
「下等な男奴隷には贅沢が過ぎるかもね。さあ、遠慮せずお食べ!」
亜美に急かされボウルの上に顔を近づけたが、口をつける踏ん切りがつかない。また美奈子の刺す様な視線も雄一を躊躇させた。
「何をぐずぐずしてるの!」
亜美は鞭で床を叩き、叱りつけた。
「ひいっ」
鞭音に怯えた雄一は、慌ててボウルに顔を近づけた。だが後1センチのところで止まってしまった。どうしても生理的に受け付けなかったのだ。雄一の後頭部に亜美のブーツが乗せられた。
「手間が掛かるわね。早く食べなさい!」
亜美に踏まれ、雄一の顔は残飯に押し付けられた。彼は全てを諦め、音を立てて犬の様に残飯を貪り始めた。
「信じられない!そんな物を口にするなんて、人間じゃないわ!」
美奈子の声が頭の中を反響した。二人の女性看守は雄一が残飯を貪るのを嘲笑いながら監視し、彼が食べ終わるとボウルとトレイを持って出て行った。雄一が残飯を食べた後、美奈子は彼と一切口を利かず、目も合わせなかった。雄一は美奈子に完全に軽蔑されたのが分かり、頭を抱え込んだ。優しくて愛くるしい笑顔で自分から腕を組んできた可愛い美奈子を失ってしまい、すっかり落ち込んでしまった。やがて照明が消され、美奈子はベッドに入った。雄一はそのままコンクリートの床に横になった。元々南国で空調も効いているので風邪を引く心配は無かったが、被る毛布一枚も無いのは寒々しかった。気分はどん底だったが、まだ雄一は知らなかった。どん底にはまだ下がある事を。
朝になって二人とも目が覚めたが、美奈子は昨日と変わらず、雄一と目を合わさず一言も口を利かなかった。やがて真紀は一流ホテル並みの豪華な朝食を持って来た。美奈子は何か吹っ切れたのか、旺盛な食欲を示し、殆どたいらげてしまった。美奈子が朝食を終えた頃、亜美がやって来た。
「お早う、美奈子。あら、朝食全部食べちゃったのね。この男奴隷の餌を他から取ってこなきゃ。」
「残した方が良かったかしら。」
亜美は笑って首を横に振った。
「何言ってるの。美奈子の食欲が戻って良かったわ。真紀、手間だけど、他から残飯を持って来てくれる?」
「分かりました、チーフ。」
真紀は頷いて外に出て行った。美奈子は真剣な表情で亜美を真っ直ぐ見つめ、話を切り出した。
「亜美、お願いがあるの。私に鞭の使い方を教えてくれない?私は雄一さんを、いえ、この男を奴隷にする事に決めたの。」
雄一は唖然としたが、亜美は大喜びだった。亜美は鉄格子の扉を開けて美奈子の独房に入り、彼女に抱きついた。
「嬉しいわ、やっと目覚めてくれたのね。美奈子が女権王国の市民になってくれるのなら、大歓迎よ!」
美奈子も笑顔で答えた。
「最初は亜美に怒ってたけど、この男の本性を見せてくれて、今は感謝してるわ。こんな男が私の夫だなんて、許せない!私の手で奴隷にしてやるわ!」
雄一は鉄格子を両手で掴んで、大声で叫んだ。
「美奈子、何を言ってるんだ!君は正気なのか!」
美奈子は雄一を睨み付けた。
「お黙り!何よ、亜美のあそことお尻の穴を舐めて、興奮してたくせに!ブーツをぺろぺろ舐めて、痰のかけられた残飯を貪るなんて、見ていて吐きそうになったわ。お前なんか男どころか人間じゃない、最低の豚よ!」
愛する美奈子に憎しみのこもった声で罵られ、雄一はがっくりとうなだれてしまった。亜美は鉄格子の独房から美奈子を通路に連れ出した。丁度その時、真紀が残飯入りのボウルを持って来た。彼女がボウルを雄一の独房に入れようとすると、美奈子が声を掛けた。
「ちょっと待って。今日は私が味付けして上げる。」
美奈子は昨日の亜美のように、残飯にかーっ、ぺっと痰を吐いた。真紀はそのボウルを持って鉄格子の扉をくぐり、座り込んでいる雄一の前に置いた。外から美奈子の声がした。
「早く食べなさいよ!亜美のが食べれて、私のが食べれない訳無いでしょう!」
さすがに雄一は顔を背けた。その途端、空気を切り裂く音がして、雄一の体に鞭が炸裂した。真紀が雄一を思いっ切り鞭打ったのだ。
「ぎゃあーっ」
雄一は真っ赤に焼けた刃物で体を切られた様な激痛に絶叫し、体をのけ反らせた。
「その態度は何よ!女権王国では下等な男奴隷が女性に逆らったり、無視したりしたら、殺されても仕方ないのよ!」
再び雄一の体に鞭が振り下ろされ、彼は泣き喚いた。
「ひいっ、お許しを、もう打たないで下さい。お願いです。」
雄一は真紀に土下座して、許しを請うた。真紀はブーツで雄一の頭を踏みにじった
「だったら、早く食べなさいよ!」
真紀が雄一の頭からブーツを外すと、彼は急いでボウルに顔を突っ込んだ。音を立てて残飯を貪る。その醜悪な姿に美奈子は眉をひそめた。
「呆れたわ。心の底から豚になり切っているのね。こんな最低の男と結婚してしまったなんて、私の人生は台無しよ。この報いは一生をかけて償わせてやるわ!」
美奈子から軽蔑し切った罵声を浴びせられ、雄一はあまりの情けなさと屈辱に身を震わせ、涙をこぼした。しかし鞭が恐ろしく、残飯を貪り続けた。雄一が残飯を食べ終えると、女性達は立ち去った。一人残された雄一は膝を抱え、ぼんやりと美奈子の事を思った。この島に到着するまで、船内で手をつなぎ風景を楽しんだ五分間が、最後の新婚旅行となってしまった。可愛らしく自分を慕ってくれていた美奈子はいなくなり、自分を憎み軽蔑し切った美奈子が残ってしまった。知らず雄一の頬に涙が伝った。
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人格破綻 女尊男卑
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